debootstrap(8)

名称

debootstrap - ベーシックな Debian システムのブートストラップ

書式

debootstrap [OPTION...] SUITE TARGET [MIRROR [SCRIPT]]

debootstrap [OPTION...] --second-stage

説明

debootstrapSCRIPT を実行して MIRROR から SUITE の基本 Debian 環境を TARGET にブートストラップします。MIRROR には http:// または https:// の URL や file:/// URL、ssh:/// URL が指定できます。

SUITE にはリリースコードの名前 (例: sid, stretch, jessie) かシンボル名 (例: unstable, testing, stable, oldstable) を指定します。

file:/ URL は (RFC1738 でローカルのファイル名の正しいスキームとされている) file:/// に変換されますが、file:// は使えないので注意してください。ssh://USER@HOST/PATH URL は scp を使って取得されます。ssh-agent などを使用することを強く推奨します。

Debootstrap ではインストールディスクを使用せずにシステムに Debian をインストールすることができますが、インストールディスクを使って chroot(1) 環境で異なる Debian フレーバーを動作させることも可能です。この場合、テスト目的で使えるフルの (最小) Debian 環境を作成することができます (サンプル セクションを見てください)。chroot 環境でパッケージをビルドしたい場合は pbuilder を参照してください。

オプション

--arch=ARCH

対象アーキテクチャを設定します (dpkg がインストールされていない場合に使用してください)。--foreign も参照。

--include=alpha,beta

ダウンロード・展開リストに追加するパッケージのリストをカンマで区切って指定します。

--exclude=alpha,beta

ダウンロード・展開リストから削除するパッケージのリストをカンマで区切って指定します。

警告

重要なパッケージを誤って削除してしまう可能性もあるため、このオプションは注意して使ってください。

--components=alpha,beta

アーカイブのコンポーネントからパッケージを使用します。

--no-resolve-deps

デフォルトでは、debootstrap は欠けている依存関係を自動的に解決して、見つかった場合は警告を表示します。dpkg や apt のような完全な依存解決ではないので注意してください。また、このオプションを使うよりも完全なベースシステムを指定するほうが好ましいとされます。このオプションを設定した場合、依存解決が無効になります。

--log-extra-deps

パッケージの依存関係を解決するときに依存関係を記録したい場合、このオプションを設定することで debootstrap.log に記録されます。

--variant=minbase|buildd|fakechroot

使用するブートストラップスクリプトの名前を指定します。現在のところ、サポートされているスクリプトは、必須パッケージと apt だけが含まれている minbase と、build-essential パッケージをインストールする buildd、そして root 権限を使わずにパッケージをインストールする fakechroot です。--variant=X 引数を指定しなかった場合、apt を含む、プライオリティが required および important の全てのパッケージが含まれたベース Debian 環境がデフォルトで作成されます。

--merged-usr

/{bin,sbin,lib}/ を /usr/ にまとめるシンボリックリンクを作成します (ほとんどの環境でデフォルト)。

--no-merged-usr

/{bin,sbin,lib}/ を /usr/ にまとめるシンボリックリンクを作成しません (buildd でデフォルト)。

--keyring=KEYRING

ディストリビューションをブートストラップするデフォルトのキーリングを上書きして、KEYRING を使用して取得したリリースファイルの gpg 署名をチェックします。

--no-check-gpg

取得したリリースファイルの gpg 署名のチェックを無効化します。

--force-check-gpg

リリースファイルの署名チェックを強制的に行い、キーリングが存在しない場合に HTTPS に自動フォールバックしないようにします。--no-check-gpg と一緒に指定することはできません。

--verbose

ダウンロード情報について詳しく出力します。

--print-debs

インストールされるパッケージについて出力して終了します。debootstrap がパッケージファイルをダウンロードしてどのパッケージをインストールし依存関係を解決するか決定できるように、空、または存在しない TARGET を指定する必要があります。--keep-debootstrap-dir を指定しないかぎり、TARGET ディレクトリは削除されます。

--download-only

パッケージのダウンロードだけを行い、インストールは実行しません。

--foreign

ブートストラップの最初の解凍フェーズだけを行います。例えば対象アーキテクチャがホストのアーキテクチャと一致しない場合などに使います。debootstrap のコピーだけで対象ファイルシステムに /debootstrap/debootstrap としてインストールするブートストラップを完了できます。--second-stage オプションを使って実行することでブートストラップを仕上げることが可能です。

--second-stage

ブートストラップを完了します。通常、他の引数は必要ありません。

--second-stage-target=DIR

ルートではなくサブディレクトリでセカンドステージを実行します (アーキテクチャが異なる chroot を作成することができます)。--second-stage が必要です。

--keep-debootstrap-dir

インストールが完了した後にターゲットの /debootstrap ディレクトリを削除しません。

--cache-dir=DIR

.deb ファイルのキャッシュディレクトリ。絶対パスで指定してください。

--unpack-tarball=FILE

HTTP(S) でダウンロードするのではなく gzip で圧縮された tarball の FILE (絶対パスで指定) から .deb を取得します。

--make-tarball=FILE

ブートストラップするかわりに、ダウンロードしたパッケージを gzip でまとめた tarball を作成します (FILE に書き出します)。作成された tarball は後から --unpack-tarball で指定して使うことができます。debootstrap がパッケージをダウンロードして tarball を準備できるように、空、または存在しない TARGET ディレクトリを指定する必要があります。--keep-debootstrap-dir を指定しないかぎり、TARGET ディレクトリは削除されます。

--debian-installer

debian-installer によって内部処理で使われます。

--extractor=TYPE

自動 .deb 展開ツールの選択を TYPE に上書きします。サポートされている展開ツール: dpkg-deb と ar。

--no-check-certificate

認証局に対して証明書をチェックしません。

--certificate=FILE

ファイルに保存されているクライアント証明書 (PEM) を使用します。

--private-key=FILE

ファイルから秘密鍵を読み込みます。

サンプル

stretch システムをセットアップするには:

debootstrap stretch ./stretch-chroot http://deb.debian.org/debian
debootstrap stretch ./stretch-chroot file:///LOCAL_MIRROR/debian

chroot に sid (unstable) の完全な Debian 環境を作成する場合:

main # debootstrap sid sid-root http://deb.debian.org/debian/
[ ... watch it download the whole system ]
main # echo "proc sid-root/proc proc defaults 0 0" >> /etc/fstab
main # mount proc sid-root/proc -t proc
main # echo "sysfs sid-root/sys sysfs defaults 0 0" >> /etc/fstab
main # mount sysfs sid-root/sys -t sysfs
main # cp /etc/hosts sid-root/etc/hosts
main # chroot sid-root /bin/bash

著者

debootstrap は Anthony Towns <ajt@debian.org> によって書かれました。このマニュアルページは Matt Kraai <kraai@debian.org> によって書かれました。